ジョージ・ガーシュウィン(1898 - 1937)、アメリカ合衆国の作曲家。
20世紀初め、ミュージカル・映画音楽・オペラの作曲から数々のヒットナンバーを生み出し、
またジャズの表現をクラシック音楽に取りこんだ「シンフォニック・ジャズ」の作曲家としても知られる。
ポピュラー音楽、クラシック音楽の両分野で、アメリカの音楽史上重要な人物である。
ニューヨークに生まれ、作詞家の兄アイラ・ガーシュウィン(1896 - 1983)とのコンビで、
同地の劇場向けに多くの作品を作曲した。
1924年の代表曲「ラプソディー・イン・ブルー」は「ジャズの技法によるラプソディ(狂詩曲)」といった意味。
この曲の誕生にはちょっとしたエピソードがある。
多忙な生活を送っていたガーシュウィン兄弟がある日息抜きにビリヤード場に出かけたところ、
備え付けの新聞に、指揮者ポール・ホワイトマン率いる人気ジャズバンドのコンサート予告が載っており、
その中に「ジョージ・ガーシュウィンが現在作曲中のジャズ協奏曲」と、兄弟の全く知らない曲目が含まれていたのだ。
寝耳に水のジョージは、翌日ホワイトマンに抗議の電話をかけたが、実はこれはジョージに作曲を依頼するための
強引なブラフであり、「新聞にも載せちまったから何とか頼む」とホワイトマンに押し切られてしまった。
しかし、コンサートの期日までは既に1ヵ月を切っていた。
困り果てたジョージだったが、ある日ボストン行きの汽車の中で、蒸気機関車が刻むリズミカルな機械音や汽笛の音で
一気に曲の着想が浮かんだという。結果、ジョージは2週間でこの曲を書き上げた。
(音楽魔法の発動時に機関車が登場するのは、このエピソードを踏まえたものだろう。)
ジョージは当時オーケストラに精通しているとは言えなかったため、この曲は作曲家ファーディ・グローフェ(1892 - 1972)
によりオーケストラ編曲され、無事に初演に間に合わせることができた。
現在は、グローフェ編曲版をさらに再編曲した1942年の版が演奏されることが多い。
ニューヨークという街そのものを象徴する曲と認識されており、ウディ・アレン監督の映画『マンハッタン』冒頭部や、
アメリカの航空会社ユナイテッド航空の機内音楽などで知られる。
日本では『のだめカンタービレ』での使用が有名か。アニメ版・実写ドラマ版ともに、主人公の野田恵が演奏している。
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