リコーダーは木管楽器の一種である。その歴史は古く、中世ヨーロッパにはすでにリコーダーの原型となる楽器が存在していた。 リコーダーは14世紀のルネサンス音楽で盛んに使われるようになったが、この頃は「フルート」と呼ばれており、現在フルートと呼ばれる楽器の原型となった楽器は「フラウト・トラヴェルソ(横向きのフルート)」と呼ばれていた。 その後17世紀のバロック音楽の時代に現在の形となり、名称も「リコーダー」と呼ばれるようになった。 この時代のリコーダーを使った音楽としてはJ・S・バッハの「ブランデンブルク協奏曲」が有名である。 その後リコーダーはフルートにオーケストラ楽器の座を奪われ、忘れ去られていったが、20世紀にイギリスの古楽研究家アーノルド・ドルメッチによって復元され、古楽器として再興した。 さらに、構造がシンプルであり、安価に生産できるため、小学校などにおける音楽教育に用いられ、現在に至っている。
リコーダーの音孔(指で塞ぐことによって音程を変える穴)の開け方にはバロック式とジャーマン式の2種類がある。 バロック式は古くからある正統な方式であり、ジャーマン式は初等教育用にドイツで発明された方式である。 ジャーマン式はハ長調でのオクターブの運指が容易であるため、小学生でも容易に吹くことができるが、半音の運指が困難であるため、技巧的な曲の演奏にはバロック式が適している。
リコーダーは音域によっても様々な種類に分類できる。もちろん低音域に行くほど、リコーダーのサイズは大きくなっていく。以下に音域と名称の一覧表を示す。
主にC管とF管に分けることができ、F管はC管の約1.5倍の長さである。表を1段下がると音域は1オクターヴ低くなり、管長は約2倍となる。
C管 | F管 | | ガークライン(C6) 16.5cm | ソプラニーノ(F5) 24.5cm | 小さなかわいいリコーダー。大人の手ではかえって運指しづらい。日本ではガークラインをクライネソプラニーノとも呼ぶ。 | ソプラノ(C5) 33.2cm | アルト(F4) 47.3cm | みんな舐め・・・吹いたことのあるおなじみのサイズ。子供の成長に合わせ、ソプラノは小学校で、アルトは小学校高学年~中学校の授業で使われることが多い。 | テナー(C4) 64.4cm | バス(F3) 98.5cm | ソプラノ~バスまでの4本がリコーダー四重奏の基本編成。バスリコーダーはキーや吹込管まで備えており、リコーダーらしからぬ物々しい雰囲気を放つ。 | グレートバス(C3) | コントラバス(F2) | このクラスは演奏会でも中々見られない代物。全長は人の背丈に迫り、リコーダーとは思えない艶やかな重低音を奏でる。 コントラバスリコーダーの管長は2mに及ぶため、管を途中で折り曲げることが多い。四角い板を貼り合わせた通称「箱バス」が人気。リコーダーって何だっけ・・・ | サブコントラバス(C2) | サブサブコントラバス(F1) | 泣く子も黙る超重量級。アンサンブルでの演奏機会は少ないが、一度見たら忘れられないはず。 滅多に使わないためか呼び方も曖昧で、C管をサブグレートバス、F管をサブコントラバスと呼ぶこともある。 |
(バスまでの全長は、AULOS社のSymphonyシリーズのカタログスペックを目安として記載)
上記以外にも様々な管調のリコーダーが存在し、例えばC管テナーより少し高いD管テナーは、ヴォイスフルートとも呼ばれる。
D管テナーは先述したフルートの原型、フラウト・トラヴェルソと同じ管調になるので、トラヴェルソの曲を吹くのに便利である。
○エアビームとは?
リコーダーチャンバラにおける必殺技。上空から極大ビームが降りそそぐ。バリア無効。相手は死ぬ。
というのは嘘で、これも立派な音楽用語である。
ビーム(beam)というのはそもそも梁や桁のことで、転じて「並進する粒子や波の束」を指す。
つまりエアビームとは「空気の束」のことである。
リコーダーはこのエアビームを、歌口の下にあるエッジ部にぶつけることで振動させ、音を発生させている。原理としては瓶笛と同じである。
同じ原理の楽器にフルート、ピッコロなどが挙げられるが、これらは唇の形(アンブシュア)を細かく調整してビームをつくる必要があるのに対し、
リコーダーは歌口がいい感じに絞られているため、息を吹き込むだけで綺麗なビームを形成でき、簡単に音が出せるという特徴を持っている。
その分複雑なニュアンスの表現などは苦手という欠点はあるものの、小さな子供の音楽教育には最適な楽器のひとつといえるだろう。
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