アントワネット のバックアップ(No.21)

まず、元ネタは団員クエストでも分かるように、基本的にはスナッフ・ボックス型シリンダーオルゴールである。
スナッフ・ボックスとは1800～30年頃にヨーロッパで流行った嗅ぎタバコ入れで、同時期に同じく流行っていたオルゴールを内蔵してしまおうと思った人がいたらしい。
アントワネット自身は自分をセパレート・ティース(櫛歯が何本かに分かれている物を何枚も並べて使用する)のオルゴールと言っているが、持っている武器のシリンダーオルゴールの櫛歯は、1810年台に発明されたワンピース・コームと呼ばれるタイプ(一枚の鋼板を加工した物)である。
ワンピース・コームはシリンダーオルゴールとしては比較的後期の形状の物である。
なので、武器部分は本人より後に生まれた物なのかもしれない。

○オルゴールの歴史
オルゴールの誕生は1796年、スイスのジュネーブで時計師のアントワーヌ・ファーブルが完成させたという記録になっている。
幾つか異論もあるらしいが、それは当時既にオルゴールに必要な技術が揃っていたからであるようだ。
からくり付き時計であったり、自動演奏オルガンであったりといったそれらの技術に櫛歯という音源部分が組み合わされる事でオルゴールは誕生した。

○ティンパノンを弾く貴婦人
もう一つ元ネタと思われる物に、La Joueuse de tympanon(ティンパノンを弾く貴婦人)がある。youtube
この自動演奏人形はオルゴールの前身とも言える物で、家具職人デビッド・レントゲンと時計職人ピーター・キンジングの製作で1784年に発表され、マリー・アントワネットを模した(本人の髪の毛が縫い付けられているという)自動人形(オートマタ)がティンパノンというピアノの元となった楽器を自動演奏するというかなり高度なものである。
ゼンマイ式で、人形の下部に内蔵されたシリンダーの突起等で全ての動きがプログラムされ、ティンパノンを演奏しつつ、同時に人形も曲に合わせて手を動かしながら目線を動かしたりする。
レパートリーも8曲もある。
発表の翌1785年にマリー・アントワネット本人(マリー・アントワネットの時計趣味は有名らしい)が購入した。
現在はパリ工芸博物館に保存されている。

○スキル「ピグマリオンの舞い」について

ギリシャ神話のピグマリオン（ピュグマリオーン、ピュグマリオン）のエピソードが元ネタと思われる。
キプロス島の王ピグマリオンは、自分の理想の女性像を彫刻にして恋までしてしまう。
寝食も忘れるほど恋い焦がれるピグマリオンを哀れに思った美の女神アフロディテは、その彫刻に生命を与え、
ピグマリオンは彫刻から人間となった彼女を妻に迎える。

まるで自分を「人造音精」であるとでも言いたげなスキル名である。
ピグマリオンは王様の名前であって彫刻の女性の名前ではないとツッコんではいけない。

（同エピソードを題材にした、ジョージ・バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』があるが、
　彼女の元ネタとしては戯曲『ピグマリオン』よりもギリシャ神話のエピソードの方が適切であろう）