イリーナ・チャイコフスキー のバックアップ(No.23)

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー　1840～1893

ロシアを代表する音楽家。
バレエ曲やオペラ曲・交響曲など作品は多岐にわたり、ロシア人なら誰でもチャイコフスキーの曲を知っているというくらいだが、
彼に関する資料はほぼロシアにしかないため、ペレストロイカで情報公開されるまで彼自身のことはあまり知られていなかった。

ウラル地方ヴォトキンスクで鉱山技師の家に生まれる。初作曲はなんと4歳、お母さんに捧げる歌を作ったとのこと。
感受性豊かな少年で、音楽会で聴いた一節が延々脳内再生されて寝付けなかったりもしたらしい。
10歳からは法律学校の寄宿舎に入れられ、寂しい思いをしながらも真面目で優秀な生徒として評価される。
この頃慕っていた母親をコレラで亡くし、大いに傷ついた。

法律学校を卒業後、法務省で事務官の仕事に就くもののどうにも仕事に熱意を持てない。
無気力系エリートとして生きる中、アントン・ルビンシテインがペテルブルグで開いた音楽学校に入学。
師からの忠告を受け、親戚中から反対されながらも役人をやめて音楽家として生きることを決意する。

音楽学院を優秀な成績で卒業した後、アントン・ルビンシテインの弟ニコライに招かれてモスクワの音楽院で教鞭を執ることに。
ニコライと同居しつつ、ムソルグスキーやボロディン、コルサコフといったロシア5人組と呼ばれる作曲家達とも知り合う。

またオペラ歌手デジーレ・アルトーと恋に落ち、結婚を決意するも色々あって破局。
その後も富豪の未亡人フォン・メック夫人と14年の文通の末に一方的に打ち切られたり、
アントニナ・イワノヴナと結婚するも失敗してモスクワ川で自殺を図るまで追いつめられたりと、基本的に女運はなかった。

1878年に音楽院講師を辞職してからは、各地を転々としながら作曲に専念。
交響曲第6番「悲愴」初演の9日後、コレラと併発した肺水腫で息を引き取る。

「ピアノ協奏曲第1番」や「ヴァイオリン協奏曲」などの作品は、初演を依頼した演奏者から「演奏不可能」と断られるものの
他の演奏者が公演を繰り返すうち、評価を改めて演奏のレパートリーに取り入れられるようになった経緯をもつ。
「白鳥の湖」も、当時主流のバレエ音楽とは違いすぎて踊りを作れない・踊れない・演奏できないの三重苦で初演に失敗している。
死の直前に完成した「悲愴」も初演の聴衆からは不評だったそうだが、本人は「自分の全作品で最高の出来栄えだ」と自信を見せたという。
当時からすれば新しすぎたり難しすぎたりしたのだろうが、時間が経ってみればどれも名曲と評されている。

代表曲は
「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」といったバレエ曲
第4番ヘ短調、第5番ホ短調、第6番ロ短調「悲愴」などの交響曲
スラヴ行進曲や大序曲「1812年」などなど。