アンリ のバックアップ(No.40)

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バスクラリネットは木管楽器のクラリネットのなかで低い音を出す楽器。通常のクラリネットの2倍程度の胴体にサックスのようなベルがついている。
なお、バスクラリネットを現在の形に改良したのはサックスを発明したことでも知られるアドルフ・サックスである。

名前はフランスの楽器メーカー「アンリ・セルメール・パリ」、またはその創業者「アンリ・セルメール」から来ているものと思われる。
クラリネットやサクソフォンを得意とするこのメーカー、日本ではもっぱら英語読みの「ヘンリー・セルマー・パリ」、またはその略称「セルマー」の名で知られている。
セルマーのルーツはクラリネット奏者であるアンリ・セルメールが創業し、その弟のアレクサンドル・セルメールがアメリカに販路を広げたというもの。
多くのクラリネット・サクソフォンの家族に囲まれている彼女だが、元ネタも家族の活躍あってこその発展を遂げている。

彼女が長いこと日の目を見ることがなかったと言っている理由は、バスクラリネットが独奏楽器として注目されてこなかった事、1950年代まで、クラシックの演奏家にバスクラリネットを専門とする奏者が存在していなかった事が起因していると思われる。

バスクラリネットの歴史を辿ると、確認されている限りでは18世紀末にドイツのグレンザーによりバスーンに似た形状を持つ「クラリネット・バス」として世に送り出されたのが最初。
(それよりも前にフランスのロットによってバス・チューバが発明されたのが最初ととらえることもある。
この辺りの記述はhttp://clarinet-shop.co.jp/wp/やhttp://www.yamaha.co.jp/plus/clarinet/?ln=ja&cn=11002等を参考にしている)
その後サックスによってクラリネットとの運指の共通化や形状の改良などが加えられ、オーケストラに定着していくのは19世紀の後期ロマン派以降。
そこでは専らベースラインの担当であり、主役を担う機会は少なかった。
よく聞こえる深い低音を生かした他の楽器のサポートやソロとしての起用は、チャイコフスキーの「ドラジェの精の踊り（金平糖の精の踊り）」、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」終幕「イゾルデの愛の死」、
ストラヴィンスキーの「春の祭典」、シベリウスの交響曲第6番第1楽章、比較的最近ではグローフェの「グランド・キャニオン」第3曲「山道を行く」、ショスタコーヴィチの交響曲第7番第2楽章などがある。
バスクラリネットが独奏楽器として認められるきっかけとなったのは、チェコ人のジョゼフ・ホラークが1955年3月23日に初めてバスクラリネットのソロリサイタルを開催したことである。
1950年ごろから音楽史上の現代音楽になっていくので、認められるようになってきたのは本当に最近の話である。

ちなみにスキル発動時の台詞にある「スポットライト」「A Touch of Flanders」だが、
ヤン・ハーデルマンの作品に「スポットライト・オン・ザ・バスクラリネット(Spotlights on the bass clarinet)」がある。
バスクラリネット奏者ヤン・ギュンスがこの曲をはじめ幾つかのバスクラリネット作品を演奏し、それらを収録したCD「フランダースの風(A Touch of Flanders)」を発売しているので、元ネタはこれか。

○ドラジェ
会話の端々に出てくるドラジェは、会話内ではアーモンドの砂糖がけとの説明だが、今日一般的にはヨーロッパの糖衣菓子で、出産・洗礼・婚礼などの慶事で配られる菓子として知られている。
紀元前177年に古代ローマの貴族ファビウス家の料理人ジュリアス・ドラジェが偶然アーモンドを蜂蜜に落とし生まれたと言われている。
中世頃までは蜂蜜でコーティングしたアーモンドが主だったが、次第にコーティングは砂糖シロップや砂糖ペースト、芯にはナッツ、コリアンダー、アニス等も使用されるようになっていった。
日本では昔まだドラジェという名称があまり知られていなかった頃は金平糖の名も使われていた事がある。