フローラ・ヴェルディ のバックアップ(No.8)

　ジュゼッペ・ヴェルディ（1813～1901）

　イタリアを代表するオペラ作曲家。歌劇王。
　代表作は、「アイーダ」。他に、「仮面舞踏会」「椿姫」「オテロ」など多数。
　合唱曲では「レクイエム」が有名。
　性格は厳しく頑固一徹。
　オペラ作曲家だからなのか、ヴェルディが書いた手紙や回想には劇的で大袈裟な表現が多い。
　また、商人の息子であったためか、商談、交渉事もうまく、イタリアのオペラ・ビジネスに変化を与えた。
　ちなみに、ワーグナーと同い年である。

　青年時代に当時の妻子を亡くしており、その上、同じ時期に発表したオペラを酷く貶されたので、
「自信を失って、もう音楽のことを考えなくなった」
　とヴェルディ自身が語って実家に引きこもってしまったこともある。
　とは言え、真面目で精力的なヴェルディのこと、素晴らしい台本との出会いもあり、一年後には、出世作「ナブッコ」が完成する。
　熱狂の渦を巻き起こした「ナブッコ」以降、ヴェルディ曰く「十六年間の苦役」が始まる。
　相変わらず大袈裟な表現ではあるが、健康を害しドクターストップがかかるまでほぼ休みなしで殺到する依頼をこなしていた。

　休止期間が終わった頃、イタリアの革命期に国家統一運動の象徴に見立てられ、「仮面舞踏会」の公演では聴衆総立ちで「ヴェルディ万歳」を叫ばれた。
（国家統一のスローガン、「Vittorio Emanuele Re D'Italia」の頭文字がVERDIになる）
　その流れで、政治に特に興味がないにも関わらず政治家になってしまった、が数年で辞任。
　その後、アルプスを越えてやって来たワーグナーの楽劇と比較されることに憤ったりしつつも、様々なオペラ楽曲の作成依頼を精力的にこなしていく。
　そして、それまでの集大成として傑作「アイーダ」を完成させ、また、尊敬する小説家の一周忌のために「レクイエム」が作られる。
　この二つの作品に全力を尽くし過ぎたのか、その後は数年間作曲は行わずもう一つの仕事である農園管理に専念、また休止期間に入る。

　休止期間の後、「オテロ」の制作を始めるが、その途中にワーグナーの訃報が知らされる。
　生涯会うことのなかったヴェルディとワーグナーだが、この訃報を聞いて書いた手紙は有名である。
「悲しい、悲しい、悲しいことです！　ワーグナーが亡くなりました！　（中略）彼は芸術の歴史に非常に強力な刻印を残した人でした！」
「オテロ」は、自分の過去の作品を超え、ワーグナーを打ち倒すことを目標にしていたという話もある。
　そして、最後の作品は喜劇「ファルスタッフ」。
　この時期のヴェルディは、今までの厳しさがなくなり「ファルスタッフ」の主人公のように陽気であり、
「最近はオーケストラを地下に置くのだから、屋根裏にヴァイオリンを置いてみようか？」
　というような冗談を手紙に書いている。

「ファルスタッフ」後は、慈善事業に力を入れている。
　彼が計画し建設された「音楽家のための憩いの家」。
　現在も機能しているこの養老院、ここの礼拝堂にヴェルディの遺体は葬られている。