コーラングレ(コール・アングレ【cor anglais】)またはイングリッシュホルン【english horn】
ダブルリードの木管楽器の一種でオーボエと同族のF管楽器。オーボエよりも低い音を出す。 希にアルトオーボエと呼ばれることもある。
ココでは彼女のセリフで出てきた部分に付いて解説します。
コーラングレは 1720年ごろにシレジアで、ブレスラウのヴァイゲル家により、オーボエ・ダ・カッチャ式の曲がった管体にあわせて球根形のベルをつけたことに始まる。
- シレジアについて
ポーランド南西部からチェコ北東部に属する地域の歴史的名称(プロイセン王国時代の行政区画も含めれると【ドイツ東部のごく一部もシレジア】)である。
さて、楽器名【cor anglais】自体、フランス語で「イングランドのホルン」と言う意味なのだが
実際は、イギリスとも、フランスとも、楽器の由来には直接は絡んでこない。
話を元にもどそう。
2つのキーを持ち、ベルが開いていて、まっすぐなテノール・オーボエ【フランス語:taille de hautbois】 、および朝顔形のベルをもつ楽器
オーボエ・ダ・カッチャは、中世の宗教画に出てくる天使が吹くラッパによく似ていた。 その為に中央ヨーロッパのドイツ語圏では、ドイツ語で【engellisches Horn】すなわち「天使の角笛」と呼ばれる様になった。
ドイツ語の単語【engellisch】は「イングランドの」と言う意味がある為に
「天使の角笛」から「イングランドのホルン」へ変化していった。
オーボエ・ダ・カッチャが 1760年ごろから使用されなくなった後になっても、
曲がった球根形ベルをもつテノール・オーボエが「イングリッシュホルン」と呼ばれる様になった。
コーラングレ専用のパートを持つ最古の管弦楽譜は
1749年 ニコロ・ヨンメッリのオペラ「Ezio」 ウィーン版。 この譜面上ではイタリア語で「corno inglese」と書かれている。
※1750年代のグルックとハイドンの作品でも「corno inglese」と譜面上に書かれている。
最初のコーラングレ協奏曲は 1770年代に書かれた。
皮肉なことに、楽器自体は、フランスでは1800年ごろ、英国では1830年代になるまで
コーラングレは使用されなかった。
【コーラングレの「アングレ」が中世フランス語の「anglé」(角ばった、角で曲がった。)がくずれたものだという説】
この説は19世紀に cor anglais という語が出現する以前に cor anglé という語が使われた証拠がないことから否定 されている。
楽器名【コーラングレ】が普通に現れるようになるのは、1741年以降のイタリア・ドイツ・オーストリアのスコアから。
19世紀の最後の4半世紀を通じて、英語では、フランス語名「cor anglais」とイタリア語名「corno inglese」だけが使われた。 英語の口語では常に「cor」と呼ばれている。
使われている楽曲
- ヨセフ・フィアラ:イングリッシュホルン協奏曲 変ホ長調
- モーツァルト:イングリッシュホルンと弦楽のためのアダージョ K.Ahn94 (580a) 断片
管弦楽曲等では
- バッハ:マタイ受難曲 BWV244(オーボエ・ダ・カッチャ)
- バッハ:カンタータ BWV147(オーボエ・ダ・カッチャ)
- ハイドン:交響曲第22番変ホ長調『哲学者』
- ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」(第3幕への前奏曲 - 長い無伴奏ソロ)
- ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」(第2楽章 - 最も有名な例であろう)、劇的序曲「フス教徒」
※一例だけを挙げるに留めておきます。他にもあれば追記してください。
スキル名の『新世界の落日』はこの交響曲第9番「新世界より」が元ネタだろう。
この第2楽章の編曲の一つ「Goin' Home」に日本語の歌詞をつけた「遠き山に日は落ちて」という歌があり、「落日」の部分はこれが由来だと思われる。
|