ジュゼッペ・タルティーニ(Giuseppe Tartini,1692-1770)
イタリアのバロック音楽期の作曲家、ヴァイオリン奏者。
アドリア海の奥、イストリア半島のピラーノ(現在はスロヴァニア領ピラン)出身。
両親はフランシスコ派の修道士にしたかったらしく、基礎的な音楽の教練を受ける。
1709年、パドヴァの大学で法律と進学を勉強し、またそこでフェンシングの名手となる。
1710年にエリザベッタ・プレマゾーレと結婚したものの、彼女は貴族の寵愛を受けており、誘拐罪で起訴されたため、アッシジの聖フランシスコ修道会に入門して訴追を免れる。
この期間に、タルティーニはヴァイオリンの練習をはじめる。
1716年にフランチェスコ・マリア・ヴェラチーニ(1690-1768)の演奏を聴いた時に強い感銘を受け、自身の技能に不満を持ち、アンコーナに移住し、練習の為に自室にこもる。
タルティーニの技能は非凡な成長を見せ、1721年にパドヴァのサンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂の指揮者(カペルマイスター)に任命される。
1723年からプラハの宮廷オーケストラの指揮者になるが、1726年にはパドヴァに戻って音楽学校を開き、後進の指導に当たる。
1770年没。享年77歳。
作曲家、ヴァイオリニストのほかに音楽理論家でもあり、差音(周波数の異なる2つの音を同時に鳴らすと聞こえる2つの音の周波数の差に等しい周波数の音)の発見者とされている。
当時のイタリアの作曲家には珍しく、オペラ、教会音楽を全く作曲せず、ほぼすべてがヴァイオリン協奏曲とヴァイオリン・ソナタである。
原稿に日付を書き込まない、過去に執筆、演奏の終わった作品にも修正をくわえていたため。いつ作曲したか、いつどの範囲を修正したか、が不明で学者を悩ませている。
スキル名、「悪魔のトリル」はタルティーニの代表作のヴァイオリン・ソナタ。
ちなみにトリル(trill)は音楽用語の一つ。ある音と二度上の音を交互に素早く小刻みに反復して演奏する。
現代のヴァイオリニストにとっても高い演奏技術を求められる難度の高い曲であり、レパートリーの定番となっている。
アッシジにいた頃に夢に出てきた悪魔が演奏した曲を目が覚めてから書きとった、という伝説から1713年頃の作品とされていたが、近年の作風研究で1740年代後半以降の作品とみなされている。
第1楽章から第3楽章までの3つの楽章からなり、
第3楽章のアレグロアッサイ(allegro assai/非常に早く)では高音部でトリルを演奏しながらもう一つの独立した旋律を奏でる、曲名通りの「悪魔のトリル」が登場する。
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