プレスター のバックアップ(No.26)

赤字部分が変更対象

バセットホルンは、クラリネット族の古い木管楽器。
折れ曲がった形をしており、通常のクラリネットよりも低い音を出せる。
「ブック」や「ボックス」と呼ばれる謎めいたパーツがあるのも特徴(この中で管が屈曲している)。
「ホルン」と名前にはあるが、金管楽器ではないし角笛っぽい形もしていない。

開発された当初は演奏者が操作しやすいように鎌型に曲げられていたらしく、そこからホルンと名付けられたとか。
18世紀末にまっすぐな管を折り曲げた形になり、19世紀にはネックだけ曲がったほぼ真っ直ぐな形のものができた。
現在作られているものは真っ直ぐなタイプで、「ブック」はついてない模様。
プレスターが持っているのは折れ曲がっていてブックもある、バセットホルン全盛期の型。

バセットホルンを使った曲はあまり多くなく、そのほとんどが忘れられている。
ハイドンやメンデルスゾーンも一応書いたりしたが、多くを書いたのはモーツァルトだった。
有名な「レクイエム」の他、「バセットホルンのためのコンチェルト」という曲まである。
ウィーンで有名なバセットホルン奏者だったアントン・シュタードラーと知り合い、作曲を依頼されたのがきっかけらしい。
フリーメイソンで知り合ったのもあってか、「フリーメイスン葬送音楽 ハ短調」といった曲も残っている。
なお、クラリネット奏者でもあったシュタードラーがバセットホルンと同じ音域を出せるよう改造したのがバセットクラリネット。
(楽器と譜面の紛失により、150年ぐらい完全に忘れられていた更に影の薄い存在)

「銀の薔薇の騎士」というのは、リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ「ばらの騎士」から。
ウィーンの貴族が婚約申し込みの証として、使者に銀の薔薇を届けさせる……という劇中の設定がある。
このオペラの主役である青年貴族オクタヴィアンは、ソプラノかメゾソプラノの女性歌手が男装して演じる。
なお劇中では男装して演じる役が女装して女中に化けるシーンもあり、「フィガロの結婚」のケルビーノ役とよく似ている。
モーツァルト風のオペラを目指したこの作品では、既に忘れられていたバセットホルンに再び光が当てられた。

現代では、アルトクラリネットで代用されることがある。