オーケストラ・吹奏楽でも登場し打楽器でも一際大きい存在のアイツ。ドラムセットの下段中央にあるアイツ。
マーチングとかで「あんな重いのよく背負えるなぁ」と思われてるアイツ。 それらひっくるめて「バスドラム」。「大太鼓」とも呼ばれている。
膜鳴楽器の中でも銅鑼(タムタム)並に大きい為、一度鳴らすと止めるのが意外と大変な楽器。
祖先辿りするとシュメール文明とかエジプト文明まで遡る、ルーツの古い楽器。
西洋音楽に用いられる楽器としては、トルコ軍の持っていたダウルが直接の祖先と言える。
中世においては、太鼓や管楽器で編成される鼓笛隊が、自軍の鼓舞と敵軍への威圧、また伝令などに活躍した。
しかし火薬の登場によって、銃や大砲の音にかき消される鼓笛隊は戦場での有用性を失っていった。
以降、大太鼓はパレードやマーチングバンドといった、野外での演奏に活躍の場を移す。
その一方で、オーケストラなどの屋内の演奏ではその出番をじっと待つ存在となる。
現代では、よく登場するのは「吹奏楽」の方で「オーケストラ」ではティンパニより出番が少ない。
…というのも役割が大体一緒なので正確に音程が出しやすいティンパニを採用する事が多いからだ。
逆にマーチングでティンパニは使えないのでサイズの異なるバスドラムを複数人用意して叩く事が多い。
叩けば重い低音が鳴るのでリズム担当だったり、1発でかいのを任されたりする極端な所がある。
特に後者は「ホールの関係上この楽器(?)は使えないので代用で」というのでバスドラムが任されることが多い。
…といっても「大砲の音」「稲妻の音」「爆弾が落ちる音」「ゴジラの足音」とかだったりと「それ楽器じゃないよね」感満載。
(例としてはチャイコフスキーの序曲1812年。大砲の音は流石に用意できないのでコレで… という事)
銅鑼同様「ロールによる盛り上げ担当」というのも存在する。
ただ銅鑼と違うのは「バスドラムで使うマレットがでかい」事。 あれで連打するのは流石に腕がキツい。
しかもその後の音止めで膜を抑える必要があるので更に大変。
ヴェルディのレクイエム 怒りの日
ジュゼッペ・ヴェルディ(フローラ・ヴェルディ)作曲のレクイレム。 世界三大レクイレムの1曲と言われる。
その中でも一番有名な「怒りの日」は合唱込でコーラスが注目されがちだがスーラがこの曲を上げるのにもワケがある。
「ティンパニでも足りないぐらい重く、低く、大きく、芯のある音が要求される」
表現として上記の音が登場するのだが、ティンパニでは音が高いためバスドラムに任されている。
また「この音で怒りの日の評価が分かれる」というぐらいの重要なポジションであり
バスドラムが活躍する数少ない曲として名前が上がる。
なおコレ以外だと「ベートーベンの第9第4楽章」とか。 あれもかなり重い音が必要だったりする。
…というかね、オーケストラでバスドラムが出る曲が少なすぎるんや…。
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