グランドピアノの音精。
ピアノといえば本来この楽器を指す。
それまでの鍵盤楽器は管に空気を送ることで音を出すオルガンや絃をはじくことで音を出すチェンバロのように、打鍵の強さやホールドによる音の微妙な変化が若干つけづらかったのに対し
ハンマー機構により張られた絃を“叩く”“抑える”機構により弱い音から強い音まで自在に表現することを可能にしたことからピアノ・フォルテと名付けられた。
その発明ははっきりとした記録はないもののメディチ家トスカーナ大公子の楽器管理人でイタリア出身のバルトロメオ・クリストフォリが1700年前に制作したと言われ、メディチ家の記録に既にピアノの存在したことが載っている
音の強弱だけでなく残響の残し方やタッチによって微妙に音色を変える繊細さ、表現の豊かさ
同時発音数などの自由度の高さから“最小のオーケストラ”ともいわれ
ピアノによる単独演奏、協奏曲のみならず 様々な編成の作曲の際の手段としても広く用いられてきた
弦を縦に張った箱型のアップライトピアノは家庭用として広く普及するためにスペースを節約し、いくらか性能を犠牲にしているが、
こちらはピアノ本来の形であるため表現力や音の質で優れている。(違いが分かりやすいのは、広くスペースをとった“反響版”による響きの豊かさ・音の放射性である)
当然サイズが大きく、広い部屋でないと搬入すらできないので、ある程度のお金持ちにしか許されない楽器と言える。値段自体もグランドピアノのほうがやはりお高くなっている
逆にそれなりのスペースとお金があれば空間を生かすためにも基本的に置かれるのはこちら一択であるため、コンサートホールや市民体育館などに置かれる場合もそのグレードにかかわらず、一級品のものではないにせよグランドピアノの方が置かれる
内部機構としては、簡単に言えば鍵盤を押すと内部でハンマーが跳ね上がって弦を叩き、鍵盤を離すとダンパーが弦を抑えて音を止める仕組みになっている。
弦の振動だけで音が出るわけではなく、駒や響棒を取り付けられた響板(ピアノの心臓)が共鳴することで大きく美しい音を出す。
足元にある3つのペダルは音量を調節したり、鍵盤を離してもダンパーを戻さずに余韻を残したりするのに使う。
内部構造がだいぶ複雑なのは、想像してもらえるだろうか。
某ピアノメーカーなどは木工技術の高さから家具や軍用機のプロペラ製造に手を伸ばし、さらにそのエンジン製造やバイク・船舶など幅広い分野に事業を派生させた。
これも元を辿ればピアノの偉大さゆえの功績……なのかなぁ。
ちなみに88の鍵盤に応じた弦を張るフレームは20トンもの張力がかかる頑丈な鋳物であり、バイクのエンジン素材と同じ組成だとか。
1オクターブごとに幹音の白い鍵盤7つと半音の黒い鍵盤5つが並ぶ様子は誰でも見たことがあるだろうが、昔は白黒が逆だったらしい。
黒いほうが動きまわる白い指が映えるとか、白は引っ込んで見えて黒は出っ張って見えるから今の形に落ち着いたとか、理由については諸説あるようだ。
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