ナチュラルホルンとは、金管楽器ホルン族の一種。シンプルな1本の管を、これまたシンプルに1巻きしただけの簡素な楽器である。
質実剛健、ですわ!
【私と言えば狩り、狩りと言えば私…ですわ!】
もともと[horn]という語は「角」を意味していたが、古くから「角笛」という意味も有していた。
キャラ名の由来であるコルノ(corno)もイタリア語で"horn"に相当する語である。
角笛の用途は狩りの時に後方の仲間に合図を送るときに使用していたことから、
ベルと呼ばれる朝顔のような部分が後ろに向けて作られている。
ナチュラルホルンが吹かれるときは、狩人たちを鼓舞するとき…私の声で狩人達は歴戦の猛者へと変貌するのです。
現在演奏者が演奏する際にベルを後ろに向けて持つのはこの名残である。
音楽に使われるホルンの音は、ほとんどの場合狩りを表現しているので、彼女の狩猟好きもそれに倣ったものであろう。
英語圏ではhornと言うと金管楽器全般を指すので、他の金管楽器や今日私たちがよく目にする
フレンチホルンと区別するために、「加工されていない/自然なホルン」ナチュラルホルンと呼ばれる。
ナチュラルホルンは、原始的な構造のため自然倍音しか出せず、自由に半音階を演奏することは不可能である。
それ故、バロックから古典派前期のホルンのパートは比較的単純な音形であった。
しかし、18世紀中頃にベルの中に入れた右手の位置を変えることによって、
自然倍音から最大長2度(4半音)程度音程を上下させられる、
いわゆるストップ奏法が考案され、音量の犠牲はあるものの管の調性とあわせて
半音階をある程度自由に出せるようになった。
もちろんのことながら相応の技術を必要とするが、このハンドテクニックの開発(意味深)によって
ソリストとして活躍する奏者が現れ始めた。
その操作の難しさ故、優れたホルン奏者は、皆の憧れとなるのですわ。
ハイドンやモーツァルトの協奏曲はこのような時代に書かれたが、
技術がなくても自由に半音階を出せるバルブが開発されると、
ナチュラルホルンは次第にバルブ付きホルンに取って代わられていった。
しかしバルブ付きホルンを好まず、ナチュラルホルンを愛した作曲家も多く、とりわけブラームスはその典型である。
自身もホルン奏者であった彼は、管弦楽のホルンパートをナチュラルホルン風に書いたり、
ナチュラルホルンのためのホルン三重奏曲を書いたりしている。
優れた曲、優れた演奏家があり続ける限り、私は輝き続けるのですわ。おーほほほ!
【コンダクター、私の勇姿を見ていて下さいまし!】
ナチュラルホルンが活躍する名曲を以下に紹介する
(※現在ではフレンチホルンで演奏される場合がほとんどであるが)。
・テレマン:ホルン協奏曲 TWV 51:D8
・J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第1番 BWV1046
・ハイドン:交響曲第31番「ホルン信号」第2楽章
・モーツァルト:ホルン協奏曲第1番~第4番
・ブラームス:ホルン三重奏曲 op.40
戦闘スキルの元ネタはヴィヴァルディの『四季』より『秋 第3楽章』かと思われる
(この曲は弦楽四重奏であるが、ヴァイオリンで狩りの角笛を表現している)。
余談であるが、ヨーロッパでは郵便馬車の到着の合図にナチュラルホルンが用いられていた。
これはポストホルンと称される。
こうした歴史から、ヨーロッパの郵政機関に使用される標章には、ポストホルンの図案が取り入れられていることが多い。
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