チェロ
ヴァイオリン属の三番手。
イタリア語Violoncelloを由来とし、略号は「Vc」。
セロ弾きのゴーシュ、などで聞き馴染みのある人もいるかも知れない。
(名前の「セロエ」もcelloがそのまま元ネタであろう)
オーケストラや弦楽四重奏、弦楽五重奏、ピアノ三重奏といった重奏の中では低音部を受け持つ。
独奏楽器としても優秀でチェロ・コンチェルトやチェロソナタが数多く書かれている。
楽器構造は実器を見ての通りヴァイオリン・大。顎に乗せて弾けるサイズでないチェロは床に立てて演奏する為にエンドピンが長い。その点を除いてほぼヴァイオリンを低音対応の為にサイズアップした楽器である。
なお、立てて弾く仲間のコントラバスはヴィオール属出身なので形状が異なる。
コントラバスはチェロのように肩が張っておらず撫で肩。糸巻き(ペグ)も張力の関係で歯車を噛ませる為横ではなく後ろに伸びる。ついでに言うなら弓の構えもヴァイオリン属共通の構えの他ジャーマンボウ(セロエの構え)という特有の構えも用いるので見分けがつく……あれ?セロエさんの持ってる楽器ってコントラバスなんじゃ……
ガールズシンフォニーにおけるチェロ仲間は眠り姫シフォン。あちらは「Sleeping Beauty」モデルと呼ばれる個体の音精である。
―チェロの歴史は改良の歴史―
チェロの成り立ちは、低音の弦楽器を作る試みからである。
楽器を大きく、弦を長くすれば音は低くなる。だから大きくした。単純。
ただし、大きくしたためにヴァイオリンやヴィオラと同じようには演奏できない。
そこからチェロの試行錯誤が長年行われてきたのである。
チェロが誕生した正確な時期はよくわかっていないが、少なくとも16世紀初めにはあったらしい。
「ビオラ・ダ・ブラッチョ(腕で支えるビオラ)」の低音楽器として、ビオラ・ダ・ブラッチョのバス楽器などと呼ばれていたそう。
17世紀までのチェロは、まだ弦の数が定まっておらず、3弦~5弦のものが使われており、調弦法も様々。言わば"テンプレがない状態"だった。
17世紀前半にイタリアで4弦、C-G-d-aの調弦法によるチェロが一般的になり始め、徐々にそれがチェロのスタンダードになっていった。
この頃の演奏法は、無理矢理ヴァイオリンと同じように首元で演奏したり、ネックを掴んで吊るして膝で挟んで固定するなど、力技でなんとかするのが一般的。
現代のようにエンドピンで楽器を支えるという方法は、19世紀に入ってから考案されたスタイルである。
受け持つ音域からすると本来チェロはもっと大型化すべき楽器であるが、演奏が困難になるので現在のサイズとなっている。
弦の長さもこれ以上長くできないので、巻線を使用するなどして低い音を出すようにしている。
現代でもなお、工夫に工夫を重ねた「悩める楽器」と言えるだろう。
こうした試行錯誤の歴史が、セロエの不器用な性格の元ネタになっているようだ。
参考:Wikipedia、YAMAHA楽器解体全書
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