コントラバス †
ストリングベース、ウッドベース、ダブルベース、弦バス、アップライトベース、ベースフィドル…多くの別名を持つ弦楽器。
クラシックだけでなくポップス、ジャズなどありとあらゆる音楽の低音を支える縁の下の力持ち。
高校などでお馴染みの吹奏楽に唯一参加する弦楽器でもある。某吹奏楽アニメでキラキラネームな準主役が操る姿を視た人も多いのでは?
簡単に説明するなら「ヴァイオリンのお化け」。
全長2m近いサイズ・10kgを超える重量に見合う重厚な低音が持ち味である。
かの有名なヴァイオリン属の最低音を担当する4女。
ヴァイオリンをそのまま大きくして低音に対応した楽器と思われがちだが、それはヴィオラとチェロまでの話。
ルルーナ自身も語っているがコントラバスは起源が他と異なりヴィオール属のヴィオローネが直接の先祖である。つまり異母姉妹。
サイズ以外にも形状的差異があり4姉妹で唯一の撫で肩、と覚えておくと見分け易い。
(長身だが最も乙女な体つきなのだ…くびれもあるし)
これはハイポジションを演奏する際の左手のポジショニングを容易にする為だったりする。
コントラバスの演奏スタイルを「後ろから抱きしめるように」などと言ったりするが、変な意味はない。決して。
それ以外にも
・ヴァイオリン他が5度調弦*1なのに対しこちらは4度調弦
・ネック先端のペグ(糸巻き)が太い弦の張力に耐えるべく歯車を儼ませているため、つまみが後ろ側を向いている
・弓がジャーマンボウ(ヴィオール属由来)とフレンチボウ(ヴァイオリン属由来)の2種類存在する
・平らな裏板(フラットバック)
と地味な違いはたくさんある。
弦楽四重奏でハブられるのは異母姉妹だからだろうか…。
主な奏法は弓とピッチカート(指弾き)。
弓はコントラバス特有の毛箱を下から包み込むように持つジャーマン式(なぜかチェロのセロエがこの構え)と、
ヴァイオリンらと同じフレンチ式(ルルーナはこちら)が存在し、弓自体の形状も持ち方に合わせて若干異なっている。
ピッチカートもクラシック的な物からツーフィンガーピッキングやスラップ奏法(エレキベースのそれとは異なり、弦を垂直に引き指板に弦を当てる≒バルトークピッチカート)など音楽の用途に合わせて様々な弾き方があり、
コントラバスがただのデカいヴァイオリンではないことを教えてくれるだろう。
コントラバスの変遷 †
コントラバスが最初に現れたのが、いつなのかは、はっきりしていないが、16世紀にヴィオル(Viole)族の最低音楽器であるヴィオローネ(Violone)から発達したモノと推察されている。 17~18世紀には楽器構造や弦の数などが異なる色々なものがあり、 19世紀にはヴィオローネに付いていたフレット(現在のギターの様に正確な音程を付けるために棹(さお)に埋め込まれた突起物)がなくなり、 20世紀初頭には弦の数も現在の4弦になった。
【3弦のコントラバス】は楽器の大きさは現在のコントラバスより小さく、力強く甘い音色で、高音はチェロに似て、響きが良いと言う理由から根強い人気がある。ベートーヴェンも【3弦のコントラバス】の為の曲を作曲している。
【5弦のコントラバス】
徐々に廃れていった3弦とは異なりこちらは現役。
4弦よりさらに低いH(又はC)の5弦を張り更なる低音に対応している。(4弦コントラバスで対応する場合はC装置を取り付ける改造を施す)
5弦が必要とされる場面はそれほど多くはないが、5弦コントラバスを要求してくる楽曲・作曲家は確かに存在している。
単純に弦の数が多ければ良いのかといえばそういうわけではなく、弦数が少ないほど明るい音になる。これは弦を支える駒のサイズが楽器の共鳴に影響するため。駒が小さい=弦が少ないほど楽器がよく響く。
ちなみに弦の数が変わると演奏感覚が変わるため、4弦コントラバスの演奏者が練習もなく5弦コントラバスを使うようなことは至難の業だったりする。
スキル元ネタ †
モーツァルト作曲のコントラバスのオブリガート付バスアリア
「この麗しい御手と瞳のために"Per questa bella mano"」k.612
自作作品目録に
「バスアリア、コントラバスのオブリガート付き、ゲール氏及びピシュルベルガー氏のために」と書かれている作品。
フランツ・クサヴァ―・ゲールはシガネーター一座のバス歌手。
フリードリッヒ・ピシュルベルガーは同一座のフライハウス劇場所属のコントラバス奏者。
重音奏法、急速で困難なスケール、幅広い跳躍…。
この楽曲は5弦コントラバスをウィーン式チューニング*2で使うべき曲。そして相当な技量を必要とする。
そんな曲を演奏者の技量にに合わせて曲を書くことで知られるモーツァルトに作曲させたピシュルベルガー氏の技量は恐るべきものである。
4弦・チューニングそのままで弾きこなしちゃうルルーナも大概だけどな!
なおオペラブッファの挿入曲であるが作詞者は不明。
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