スネアドラムとは、細いコイル状の金属線(英語でsnareと書く)を底面に接するように裏面に張り、奏者が面を叩いた際にこれが振動する事で独特の音を出す事からこう呼ばれる。
日本ではこの金属線を「スナッピー」や「響き線(ひびきせん)」とも呼ぶ。
「小太鼓」と言うと大体これなのだが、叩いた時の音を聞いて「これじゃなーい!」と返される事もある。
金属線の張りは胴体部分横でON/OFF(張りの調整)ができるようになってる事が多く、OFFにしたら大体想像通りの音になる。
大体ON(張ってる状態)で使うんだけど、たまーにOFF(張ってない状態)で叩くように書かれている事もある。
スーラと衣装が似ていたり、ボイスで色々登場するのは「太鼓」繋がりである他に「マーチング」繋がりである事。
打楽器のマーチングと言うとスネア・バスドラムは(打楽器では珍しく)ずっと演奏しており「リズム担当」として重要な位置に付く。
特に打楽器だけで編成された「バッテリー」はネアの夢にも書かれている「大太鼓と共演する」の様な演奏である。
なお、スネアというと「ボレロのスネアって簡単でしょ?」とよく言われるが、実際はとてつもなく難しい。
確かに実際リズムは9割型一緒なのだが「15分弱キープする事」「それでいて強弱を付ける」というのは生半可な実力では出来ない事なのである。
素早い手付きが注目されがちなスネアだが、こういう「キープする」一面もかなり技量が求められる繊細な楽器である。
歴史
スネアドラムの直接の発祥は13~14世紀頃オスマン帝国の軍隊で使われていたテイバー(tabor)という楽器であるとされている。
taborには既に響き線が存在するがまだ金属製ではなく、羊の腸で作ったガットが用いられていた。
taborより更に以前に遡ると元々はアフリカで使われていた民族楽器に辿り着くらしい。
オスマン帝国による2度のウィーン包囲に随行した軍楽隊メフテルの影響で、18世紀頃ヨーロッパにトルコ趣味が流行した事でオーケストラにもスネアドラムを含む各種打楽器が加えられるようになっていった。
(ハイドンの交響曲第100番『軍隊』や、モーツァルトのトルコ行進曲等)
演奏方法
両手に一本ずつスティックを持ち、それで面や縁を叩く事で演奏する。
軍隊で使われていた頃はベルトを付けて奏者の肩にかけて使用していた為、歩く度に揺れて左上がりに傾き左手のスティックが太鼓の枠にあたって叩きにくいなどの理由から、「レギュラー・グリップ」と呼ばれている左手側は手の平を上にしてスティックを乗せるように持つ奏法が生まれ基本奏法となっていた。
現在はキャリングホルダーを使用する事が殆どのため傾かない。
オーケストラに加えられるようになるとスタンドに固定されるためレギュラー・グリップの必要が特になくなり、両手とも同じ持ち方をする「マッチド・グリップ」も広まっていったが、レギュラー・グリップも引き続き使用された。
現在では両方の奏法とも奏者の好みにより使用されている。
尚、それぞれに若干持ち方が異なるジャーマンスタイルとフレンチスタイルがある。
ジャズ等ではスティックではなく、数十本のワイヤー(またはナイロン)を箒状にまとめたブラシと呼ばれる特殊なばちが用いられることもある。
スティックと同様に叩いて音を出すほか、ヘッドをこすって「サー・サー」という擦過音を出すことができる。
奏法
様々な奏法があるが、現在ではルーディメンツという基礎的な奏法が策定されていたりする。ルーディメンツにも公式・非公式に様々な種類がある。
基本的な叩き方としては以下のような物がある。
シングル・ストローク(一つ打ち):一回の手の動きで一つの打音を出す基本的奏法。
ダブル・ストローク(二つ打ち):一回の手の動きで二つの打音を出す。二つ目の打音は反動を利用する。
ロール:連続した音を出す奏法。クラシックでは主にクローズド・ロールが用いられる。
フラム:シングル・ストロークだが両手で微妙にずらして打音を出す事で装飾音を得る。
オープン・リムショット:面と同時に縁(リム)の部分にも当たるように叩く事で独特の甲高い打音が得られる。
リムタップ:リムをスティックで叩く。
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