マリーベル・ダンディ のバックアップ(No.14)

モデルとなった人物は19世紀末から20世紀始めにフランスで活躍した作曲家、
音楽教師で指揮者でもある、ヴァンサン・ダンディ（1851/03/27 – 1931/12/07）。

フルネームはポール・マリ・テオドール・ヴァンサン・ダンディで、
この中のマリの部分（Marie）からマリーベル（Marie-belle）のネーミングがされたと思われる。

南フランスはヴィヴァレー地方出身の貴族の家系の生まれ。
フランス革命、七月革命を経たフランスで、貴族の家系というのが
あまり誇れるものでなかったのは想像に難くない。「だから…。万事、控えめ…。うん」
幼少期に両親を亡くし、4歳から祖母に育てられる。祖母のもとで、当時パリ音楽院ピアノ科教授の
マルモンテル（ドビュッシーの師）とその門弟から、ピアノ、和声を学ぶ。いわゆる英才教育を受けた。

19歳で普仏戦争に従軍。20歳で帰還して以降から、音楽に専念する。
フォーレも参加しているフランス国民音楽協会に加盟し、職業音楽家としてチェロ、トランペット、
ホルン、そしてティンパニの演奏を行う。
パリ音楽院にも入学してフランクに師事。23歳で作曲家デビューを果たす。
管弦楽団の合唱指揮もしている。フォーレやシャブリエとの交友もこの頃からのようだ。
（ちなみにフォーレはダンディの6歳上、シャブリエは10歳上の先輩）
先輩二人の後ろに隠れて恥ずかしがってる様子とか想像しちゃうともう何だこの可愛い生き物は…！

そうしたなかでワーグナーの作品に感動し、いわゆるワグネリアン（ワーグナー信奉者）になる。
その影響を受けて、自身も歌劇を6曲書いている。

またパリにスコラ・カントルムという音楽学校を設立。没するまで同校とパリ音楽院で音楽を指導した。
様々な時代、地域、作曲家の様式での模作を課題とするなど、
当時軽視されていた音楽史的な教育をカリキュラムに取り入れ、当時の音楽教育に一石を投じた。
グレゴリオ聖歌や民謡の歌唱、研究を学生に課したりもして、古楽の復権に尽力した人物としても知られている。

交響曲を5つ、歌劇を6つのほか、様々なジャンルで作曲したダンディは多作の部類に入る人物だが、
現在、彼の曲が演奏されることは少ない。「曲はあまり有名じゃない……？かも……？」
マリーベルのスキル名にもなっている『フランスの山人の歌による交響曲（セヴェンヌ交響曲）』が
唯一と言ってもいいくらいだそうだ。
この曲はダンディの祖父の出身地、本人もいたく気に入ったセヴェンヌ地方の民謡を主題にしたもの。
冒頭でイングリッシュホルンが奏でるのどかな旋律が、セヴェンヌの山人の歌であるという。