彼女の初登場イベントに登場するバヴァリア国王「狂王」ルートヴィヒのモデルは、
バイエルン国王ルートヴィヒ2世(1845 - 1886、在位:1864 - 1886)である。
バルバラが生きた時代の100年以上後の人物であるため、彼女との縁談はif歴史ですらなく、
あらゆる時代の音楽家や人物をモデルとしたキャラクターが同一世界にいる同作ゆえの展開である。
神話と音楽にのめり込んで夢想の世界に生き、浪費を繰り返した「狂王」として知られるが、
裏をかえせば文化面での功績は多大である。
『ローエングリン』や『タンホイザー』などのワーグナー作品にのめり込み、
バイエルン国王を継ぐやただちに憧れのワーグナーを宮廷に招き手厚く保護した。
ワーグナーがルートヴィヒ2世の支援を受けて設計・建設したオペラハウス「バイロイト祝祭劇場」は、
観客をオペラに集中させるために舞台と観客席の間のオーケストラブースが大きく凹み、
シャンデリアや彫刻などの装飾を廃した堅い木製の客席でホール全体が共鳴作用を起こすなど
ワーグナーの音楽理論を体現した極めて特徴的な劇場である。現在も毎年夏に「バイロイト音楽祭」が行われる。
また、南ドイツのメルヘン城として有名なノイシュヴァンシュタイン城の建設者である。
ゲーム内でも「政務にも、また軍事上でもまったく実用性を無視している」と評されているが、
実際見た目とロマン全振りの悪く言えば悪趣味な城で、莫大な建設費用もあって当時の世間の評判はすこぶる悪かった。
王は生前、「私が死んだらこの城は取り壊せ」と命じていたが、
実際には現在もバイエルン地方の代表的観光スポットとして、はからずも地域の観光産業に貢献している。
私生活では美少年を愛し、女性は嫌っていた。
バイエルン王家の行く末を案じたオーストリア皇后エリーザベト(ルートヴィヒの遠縁であり、彼女も変わり者で知られた)が
自分の妹を嫁がせようと申し出たことがあるが、ルートヴィヒが煮え切らない態度を続けた結果破談となっている。
このイベントのシナリオは、この縁談のエピソードを、異時代の王女とミックスしたものであろう。
イベント中に黒幕として登場する「フォン・デア・プフォルテン」も実在の人物であり、
ルートヴィヒ2世の即位と同時にバイエルン王国首相(在職:1864 - 1866)に起用された。
1866年、プロイセンとオーストリアの抗争にドイツ諸国が入り乱れて争った普墺戦争の際には、
国王ルートヴィヒ2世は参戦に反対したが(この戦争の無益を悟っていたというより、単なる戦争嫌いである)、
結局議会に押されてオーストリア側にて参戦、敗北を喫した。
プフォルテンは責任を負って辞任し、参戦に反対していたルートヴィヒ2世は結果として評価を上げた。
ゲーム中ではこれを、文明ギルドのジレーネ音楽大学殲滅作戦においてルートヴィヒが音楽大学の援軍要請を拒み、
王命を無視してプフォルテンが面子にこだわって派兵、結果音楽大学が壊滅的敗北を喫したという流れで取り込んでいる。
|