フランツ・フォン・スッペ(1819 - 1895)、オーストリアの作曲家。
ドイツ語圏でいち早くオペレッタ(台詞と舞踊を伴う軽妙な歌劇)を作曲し、「ウィーン・オペレッタの父」と評される。
当時オーストリア帝国領であった、現在のクロアチアのダルマチア地方(アドリア海沿岸)で、ベルギー系貴族の家系に生まれた。
本名はイタリア語風で「フランチェスコ・エゼキエーレ・エルメネジルド・"カヴァリエーレ"・スッペ=デメッリ」と大変に長く、
このうち「カヴァリエーレ(Cavaliere)」はイタリアの騎士号を持つ家系であることを指す。
が、単なる称号でスッペ本人に騎士としての実戦経験があるわけでもない。
知識はあるが実践には疎い軍事マニアというゲーム内設定は、こうした出自を元にしていると思われる。
なお、ガエターノ・ドニゼッティは遠縁にあたる。
ウィーンにおいて活躍したが、スッペの作品は今日オペレッタとして上演されるものは少なく、一部の曲が単独で演奏されることが多い。
音楽魔法の『軽騎兵』は序曲が有名で、ディズニーアニメ『ミッキーのオーケストラ』(1942)で演奏されているのはこの曲。
ゲーム中の台詞にある「Leichte Kavallerie(ライヒテ・カヴァレリー)」とはそのまま「軽騎兵」を意味する。
また、パリでオペレッタ流行の契機を作ったジャック・オッフェンバックの影響を作曲において受けており、
特殊攻撃の『美しきガラテア』(1865)はオッフェンバックの代表作のひとつ『美しきエレーヌ』(1864)に対抗して作られたもの。
ゲーム中には登場しないが、『ボッカチオ』(1879)は現在でもオペレッタとして上演の機会がみられる作品。
日本では、大正時代に東京・浅草において日本語化した大衆向けオペラとして上演された「浅草オペラ」のレパートリーとして人気だった。
劇中の1曲「ベアトリーチェ」は、「ベアトリ姐ちゃん」としてコメディアン榎本健一の歌でヒットした。
同じく「恋はやさし野辺の花よ」も多くの歌手によって歌われ、最近では2015年に秦基博がカバーしている。
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